
CEOには3つの中核となる仕事があると私は考えています。
まず、戦略策定に集中することです。
会社の使命と方向性は何なのかを考え、戦略的に何をすべきかを明確にします。
2番目は、戦略を実行しやすいシンプルな事業モデルを作ることです。
そして3番目が、その事業モデルを実行するために最高の人材を集めることです。
この3つがうまく機能すれば、通常、会社はいい方向に向かうはずです。
ただ、素晴らしい戦略と事業モデルを作り、有能な人々を集めることができても、最終的にはそれを日々の業務遂行に落とし込まなくてはなりません。
つまりこの3つの大きな仕事を成功させたうえで、日々の業務に常に時間を費やし、きちんと実践されるように努力することが重要です。
それこそ私がやろうとしていることです。
私が顧客やパートナーに会いに行き、市場で戦略が実行されているのかを日々確かめるのはそのためなのです。
投資信託ブームといっても、販売会社から完全に独立して、独自に商品を設定して、独自に販売している投資信託がどれだけあるか。
結局、販売会社に売ってもらいやすい商品を運用している面が強いのではないかと思います。
こういう話を昔なじみのファンドマネジャーたちとすると、「分かっている。分かってはいるんだけど・・・」という反応になる。
実は海外でも同じ問題があって、70年代は機関投資家は正統派の本格的な長期投資でしたが、どんどん短期志向になってきた。
今の運用スタイルは、株価指数などをベンチマークにして、どれくらい上回った下回ったとやっているんだけれども、本来それは違うんじゃないかと。
5年先、10年先を見据えて投資しようという時に、ベンチマーク運用なんてあり得ないと思うけど。
今はATMでの提携が中心です。
これは預金を現金に替え、現金を預金に替えるという限定的な分野のビジネスです。
だからこそ、ネットワーク端末の信用が問われるわけです。
「紙幣が足りなくなったから引き出せません」ということがないよう体制を24時間365日きちんと作り上げなければなりません。
耐用年数5年で償却すべきATMを3年8カ月で更新したのは、「処理スピードをもっと速く」というお客さんの声に応えるためです。
お客さんは自分のお金を預けている。俺のお金なのに、なんでスムーズに動かないのかと。
とにかく基本に忠実にやるだけです。
合併協議を始めた時には、かなり拓銀は追い込まれていましたから、あまり時間的な余裕がなかったのは確かです。
私の感触では、大蔵省サイドには拓銀を救済するというシナリオは最初からなかったように思えました。
不良債権の査定にしても、もう少し時間をかけてお互いの認識のギャップを縮めていければよかったんですけどね。
サブプライムの話もそうですが、リスクを100%把握するのが難しい以上、常に最悪の状況を想定して物事に臨んでいく、金融ビジネスはこれしかないのかもしれません。
バブルというのは3つの幻想ですよ。
第1に、いつの時代でも、どこのマーケットでもそうなんですが、活況がいつでも続くという幻想。
2番目は、バブルを支える流動性がいつでも潤沢にあるという幻想。
それから、3番目は、リスクが何らかの手段によって有効にコントロールされ続けるという幻想。
実にはっきりしています。
まさにバブルの典型的な特徴を兼ね備えた状況が続いていたわけですから。
日本も米国も、そして中国も目指す方向は一緒なんですよ。
その実現へ向けた方法とか戦略で違いが出てくる。
世界は、米国一極によるグローバリゼーションの体制が徐々に変わりつつあり、中国の存在感が非常に高まってきている。
中国への脅威、不安があるのは仕方ないことですが、日本は中長期的でしかも世界的な視点に立って方法や戦略の違いを克服し、うまくつき合っていく必要があります。
営業の第一線の舞台となる郵便局などにおいて、「きちっとルールを守りなさい」と繰り返し、繰り返し、言ってきました。
ただ、守らせる仕組みというものができていなかった。
それが問題だったのです。
これから作っていく仕組みは、まずは十分な人数で、きちんとした社内監査をする。
そこで不十分な点が明らかになれば、それを指導する。
一定期間を置いて、まだ問題があるなとみれば再び監査してみる。
ダメな場合は、やっぱり配置転換などによって体制を変えていくしかないでしょうね。
現場における相互チェックのようなものも必要だと思いますね。
どこの会社でも、いくつかの問題は抱えているものです。
ある程度は仕方がない。
ただウチの場合、あちこちで、しかも次から次へと問題が起こってくる。
それを改めるには、お客さまの信頼を得ていくため。
そんな意識改革をするには、だらだらやっても仕方がない。
だから1年と期限を切ってやっていこうとしたわけです。